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貴方の傍で、赤子のように眠りにつく

「精が出るね」

「お仕事みたいなものですから」

「何を作っているんだい」

「お店の暖簾を。おばあちゃんに頼まれたんです」

「へぇ。おもしろいね」

「そうですか?」

「紙漉きと少し似ているね」

「ふふ、地道ですもんね」

「だけれどそれが良いのさ、違うかな」

「いいえ、その通りですよ」

「…ここに居てもいいかな」

「どうぞ、そこのストーブに椅子がありますから暖まっていてください」

「ありがとう」


(なにかを作る人の傍ら、張り詰めた糸を幾重にも巡らした空間のよう。)

ぎったん、ばったん、ぎったん、ばったん

(細い糸を、一段一段、それこそ心を込めるように、織っていく)

ぎぃ、がしゃん、

(なんて心地よい)


(暖かい達磨ストーブの揺らぐ炎、作業する指の持ち主の落ち着いた後ろ姿)


(心地よい、人だね)




「…ま、こんな時間。お夕飯の支度しなきゃ。雷光さん、…あら、雷光さん?…
寝ちゃったのね」

(君のそばは心地よい。作る人のそばは優しい。)
(君のそばで赤子のように眠りに就く)



「雷光さん、…(起こしてはだめ、かな)」

(ロッキングチェアにひざかけ、暖かなストーブ、)

(穏やかな寝顔、閉じたまぶたにきれいな金色のまつげ)

(ぴんく色の彼の唯一の最初の色)

「かわいい、人ね」


(やわらかい頬、まろやかな曲線、ホントに男のひとかしら)

(赤ちゃんみたい、言ったらあなたは怒るかな)

「…、おや」

「、あ、…起こしちゃいましたか」

「いいや、寝てしまって悪かったね」

「そんなことないですよ」

「…それで、なんでこんな至近距離だったんだい」

「え、いえ、えと」

「…かわいい人だね」

「あなたの方こそ」

「私、がかい」

「赤ちゃんみたいに寝てました」

「…」

「…怒った?」

「怒らないさ」

「雷光さん、とってもかわいくてすてき」

「ありがとう、君もとってもかわいくてすてきだよ」

「ふふ、だいすき」

「私だってだいすきさ」

「うふふ」

「ふむ…これだけ顔が近いとすることはひとつだね」

「え、ちょっと、待」

「待ちはしないよ」

(ちゅう)
(子供のきす)

「…びっくりした」

「だめかな」

「いいえ、もう…」

「かわいいなぁ本当に」

「あの、」

「なにかな」

「お夕飯の支度してきても、いいですか」

「おや、それはすまなかったね。戻ろうか」

「はい」

「今日はなんだい」

「親子丼ですよ」


(ああ、顔が熱い)








*こっちがはずかしいです

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