英さんが言った。
愛してるからこそ
相手の心の底は見えないわ
「ですって。そうなの、雷光さん?」
「随分と単刀直入だね」
気になることは聞きますもの。
英さんが言わんとすることはよくわかるの。
だって私もそう思うことよくあるし。
「私、貴方のこと大好きだけど、」
「おや、ありがとう」
「ふふ、──でね、だからなんだけど、どうしたって貴方を踏み荒らそうなんて思えないの」
私、貴方が忍びだってよく知ってるんだけど、だからといってなんで忍なの、とか、どうして灰狼衆にいるのって聞けないのもそのせい。
私が踏み込んじゃいけない領域ぐらい知っている。
淋しいけど、それが暗黙のきまりよ。
「踏み込んでくれても構わないよ」
「貴方がよくてもいやよ。土足で上がり込む真似なんて致しません。」
「そうかい」
「ええ。」
「頑なだね。」
「貴方に言われたくないわ。」
それでも、いつの日か、貴方が私に話す勇気が出来たのなら。
私、どんなあなたでも両手一杯受け止めるわ